コロナ禍でさまざまなスポーツ・イベントの中止や延期が相次いだ2020年だが、2021年は“新しい様式”の工夫のもとで開催されている。eスポーツ関連のイベントも今後増える予定らしく、これからますます熱を帯びてきそうだ。
というのも、2020年12月、アジアオリンピック評議会(IOC)は2022年に中国・杭州で開催される第19回アジア競技大会で、eスポーツを正式なメダル競技として採用することを発表した。
この決定に特別驚いた人は少ないのではないだろうか。というのも、eスポーツは2018年のジャカルタ大会ではデモンストレーション競技として実施されており、2022年の正式決定も時間の問題と言われていた。
現時点で使用されるゲームタイトルやレギュレーションなどは決まっていないものの、『リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)』(以下、LoL)や、サッカーゲームの『FIFA ONLINE 4』など、知名度が高く公平性を保てるタイトルが有力視されている。
この決定で日本はもちろん、かつて“eスポーツの強豪国”を自負していた韓国も、大きな盛り上がりを見せているとのことだ。
また、韓国以上に息巻いているのが開催国の中国だ。2018年のジャカルタ大会出場を機に、国家を挙げた一大プロジェクトとしてeスポーツの発展に取り組んできた中国は、2022年をきっかけにアジア一のeスポーツ大国へ発展しようと計画しているらしい。
しかし韓国には、開催国の中国以上に負けられない大きな理由が存在するのだ。
1つ目は過去の雪辱だ。2018年のデモンストレーション競技で韓国は、強豪国として期待されていながらも、6種目中2種目でしかメダルを獲得できなかった。しかも、韓国でも高い人気を誇り、最も大きな期待が寄せられていた『LoL』で“銀”メダルだったのだ。
eスポーツの分野でアジアのトップランナーだと信じていた韓国にとっては、非常にショックな結果であったこと言うまでもなく、2022年の正式競技ではより力を入れてくるに違いない。
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そして2つ目はより深刻な兵役制度に関連するものだ。これまで韓国の成人男性eスポーツ選手は10代からプロとして活動しても、20代後半には兵役に合わせて引退せざるを得なかった。
兵役期間は21~24カ月と定められており、この間にゲームをプレイできないのは選手生命を絶たれることと同義だ。
しかし、今回eスポーツが正式種目へと採用されるに伴い、韓国国防部の兵務庁は現行の兵役法通り、金メダルを獲得すれば兵役が免除されるとした。正確には“完全免除”ではなく、「芸術・体育要員特例制度」という枠に属し、3週間ほどの基礎軍事訓練と3年間で500時間以上の社会奉仕を課されることとなる。
とはいえ、2年間にも及ぶ軍隊生活よりは大幅な負担減となるため、eスポーツ選手としての寿命を延ばすためには、喉から手が出るほど欲しいプレミアチケットだろう。
これまで、アジア大会のサッカー競技などでは、韓国、中国、日本が戦った試合は熱くなりすぎたがゆえにラフプレーが多発する試合も多かった。
eスポーツでラフプレーは起こらないと思うが、選手生命が懸かった韓国代表のプレーヤーたちが、死に物狂いで挑んでくることは間違いないはずだ。
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