“日韓戦”前の韓国代表が公開練習、選手はリラックスも日本代表コーチのコロナ感染に募る不安

「やはり」というべきか、「まさか」というべきか。国際試合としては10年ぶりに開催される日韓戦に、早くも緊張が走った。日本代表のコーチングスタッフから新型コロナウイルスの陽性確定者が出たのだ。

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3月23日午後、日本協会はオンラインでのメディアブリーフィングを行ない、日本代表の斎藤俊秀コーチに新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたと発表。日本サッカー協会(JFA)は選手、スタッフに濃厚接触者はいないため、日韓戦は予定通り開催するとしたが、韓国代表の練習開始を待つ間に飛び込んできたニュースに、私を含め一部の記者たちは戸惑いを隠せなかった。

ただ、昨日と同じ横浜市内で練習を行った韓国代表チームにはまだその一報は伝わっていなかったのか。1台は選手のみ、もう1台はコーチングスタッフたちという2台のバスに分乗して練習場に到着したチームからは、明るい笑い声も聞こえてくるほどだった。

練習場入りするパウロ・ベント監督

それまで付けていたマスクを脱ぎ、ピッチに姿を現した選手たち。それぞれ思い思いにボールに触りながらウォーミングアップしたあと、3人のGKと20人のフィールドプレーヤーに分かれた。フィールドプレーヤー20人は、あらかじめ設置してあったラダーハードルなどを囲みなからステップを生んだりダッシュをしたりとサーキットトレーニングに汗を流した。昨日日本に入国したイ・ガンイン(バレンシア)、チョン・ウヨン(フライブルク)も同じメニューをこなした。

特に、今回はソン・フンミン(トッテナム)がハムストリングの負傷で欠場となるなか、次世代のリーダーと目されているイ・ガンインに注目が集まっている。韓国の練習場に日本メディアも多数訪れており、イ・ガンインの一挙手一投足に視線が集中していた。

イ・ガンイン(中央)

その後は2つのグループに分かれてボールを回しながら体を温める選手たち。そこでもときおり笑顔や笑い声が零れるなど、チームは終始リラックスしているようだった。

ただ、ベント監督は選手たちの状態をチェックしつつ、ひとりボールリフティングしながら、ときおり足を止めて考え込んでいるような姿を見せた。もしかしたら、ベント監督だけは日本代表コーチングスタッフに陽性確定者が出たことを聞かされていたのかもしれない。

リフティングをしているベント監督

それにしても、日本代表チームから陽性者が出るとは誰も思わなかっただろう。日本の記者たちによると、日本代表のコロナ対策も徹底されていて、宿泊ホテルではヨーロッパ組と国内組で「別行動」。宿泊フロア、食事場、ロッカー室も別で、エレベーターの使用時間まで制限されているという。

日本チームでは一部の選手たちが合宿中の気分転換に宿舎周辺を散策する姿が別名“散歩隊”と呼ばれ人気だが、コロナ禍以降としては日本では初開催のAマッチとなる今回は、散歩も禁止されている。

そうした対策を講じてもコーチングスタッフから陽性者が出てしまったのだから、緊張は続く。「コーチはずっとは謝っている」(日本協会関係者)とショックも隠せない。「それでも新型コロナに対しては感染防止対策の基本の基本を徹底するしかない」というのが日本協会の考えのようだ。

というのも本来は日本政府が定める新型コロナウイルス感染症対策のイベント開催の人数上限に基づいて5000人分のチケットが3月19日に発売され完売していたが、東京都や神奈川県に敷かれていた緊急事態宣言が3月21日に解除となったことを受けて、屋外イベント開催時の入場可能人員が5000人から1万人に増員。日本協会は3月23日午前10時から急遽、5000枚のチケットが追加販売し、それも異例の速さで完売したという。

練習会場に設置されていたアルコール消毒液

来日25年目のオム・テミン氏は運よくチケットを入手し、当日は息子と日韓戦を観戦するとのことだ。「まだ留学生だった頃の1998年3月、同じ横浜国際スタジアムで開催された日韓戦を観客席で応援した。22年前は1-2で敗れたが、13歳になった息子と観戦する今回はぜひ勝ってほしい」

韓国代表の練習が終わったのは午後6時53分。新型コロナという危険と隣り合わせの日韓戦。緊張の日はまだまだ続く。

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